mixpaceで現実空間に表示した3Dモデルの実際の表示サイズを検証しました

    

mixpaceユーザ様から「mixpaceでAR表示された3Dモデルは元データで設定された寸法通り(原寸)で表示されるのでしょうか」という質問をよくいただきます。
はい、mixpaceでは元データで設定された寸法で表示されるように設定されていますが、特に空調などの設備や建物など、大型の3Dモデル表示では一部が見切れてしまうなどの理由により表示寸法に確証が持てないユーザー様が多い印象です。
そこで今回、mixpaceで表示した3Dモデルの現実空間での表示サイズの検証を行いました。

検証方法について

HoloLens 2・iPadは搭載のカメラでとらえた周囲の映像から自己位置推定を行っています(SLAM)。
その自己位置推定の精度は100%ではないため、移動すると現実空間に表示した3Dモデルが若干移動する場合があります。
そのため、本検証では幅10mの3Dモデルの
①全体を視野(画面)に収めた場合の見た目寸法
②測定開始点から10m移動したときの3Dモデルの寸法
の2つの方法で検証を行いました
①では見た目表示サイズがどれだけ3Dモデルの想定サイズと異なるか、②では①に加えて移動によるトラッキングのずれの影響が表示にどれだけ発生するかを測定します。

検証手順

1)HoloLens 2またはiPadを固定した状態で測定する3Dモデルの測定範囲(始点と終点)が視野に収まるように表示する
2)図面上の長さ分だけ現実空間に巻き尺を伸ばし、終点に棒など離れても視認できる目印を立てる
3)3Dモデルの測定したいエリアを巻き尺に合わせる
4)アプリ利用者は始点付近から動かず、終点付近の作業補助者に3Dモデルの終点端に目印(棒)を充てるように指示する
5)アプリ利用者はデバイスのトラッキングがずれないようにゆっくりと終点まで移動し、①終点の目印が示す巻き尺上の実測値、②3Dモデルの終点端が示す巻き尺上の実測値、の2点を観察し、3Dモデルの想定サイズとのずれを確認する

検証結果

HoloLens 2では、3台の異なるHoloLens 2を使って各1回の測定を実施しました。
3Dモデルを表示した地点からの見た目寸法(検証①)で0.4%~1.3%の誤差、10m移動時の測定値(検証➁)で0.8%~3.0%の誤差が発生していました。

iOS版ではiPad Air(第3世代)とiPad Pro 11インチ(LiDAR搭載)各1台を使って各1回ずつ測定しました。
iPadAir は3Dモデルを表示した地点からの見た目寸法(検証➀)で-0.3%の誤差、10m移動時の測定値(検証➁)で+2.3%の誤差が発生していました。
LiDARを搭載したiPad Proでは3Dモデルを表示した地点からの見た目寸法(検証①)で0%の誤差、10m移動時の測定値(検証➁)で+0.7%の誤差でした。

まとめ

各デバイスで1回のみの測定であることと、周囲に動き回る人や物のない比較的静的環境での測定と限られた条件ですが、傾向としてHoloLens 2もiPadも現実空間での3Dモデル表示寸法はほぼ設定値通り(誤差最大1.3%)、移動後の実測値で3%程度のずれで収まっていることがわかりました。
しかし、表示トラッキングの安定性は環境に大きくされるので、人の往来が激しい作業現場や、交通量の多い道路脇などの動的環境や、床面の反射や倉庫のような広い空間では今回のテスト結果ほどに安定した表示とはならないケースが多いことがわかっています。
そのような環境では大型3Dモデルの360度からの外観確認など、3DモデルをAR表示させた後に移動する利用スキームはできるだけ避けるようにしてください。