大和ハウス工業株式会社様:AR / MR技術を活用した設計・施工・維持管理業務の効率化、高品質化への取り組みで「mixpace」の各種機能を活用

導入事例 2022-01-18

大和ハウス工業株式会社様では、設計・施工・維持管理業務の効率化、高品質化にmixpace、mixpace Remote Renderingオプション及びBIM 360連携機能をご利用いただきました。その活用の目的や効果について担当された東京本社技術統括本部建設デジタル推進部 デジタル推進建築設計・施工グループ 木戸広太様、高比良大輔様にお話しを伺いました。


キーワード:設計レビュー、施工状況確認、合意形成


大和ハウス工業では、デジタルコンストラクションの一環として、AR / MRをはじめとするXR技術を活用した設計・施工・維持管理業務の効率化、高品質化に取り組んでおり、数年前からAR / MRソリューション「mixpace」を活用した様々な検証を進めています。

2021年11月2日、当社が設計施工を担当する宮城県内の物流施設にて、「mixpace」の各種機能を使った設計提案手法について、検証を実施しました。今回の検証では、施工現場側(以下、「施工現場側」)と大和ハウス工業の東京本社のオフィス側(以下、「オフィス側」)とをMicrosoft Teamsのリモート会議で繋ぎ、画像や音声で相互にコミュニケーションを取りながら、リアルタイムでの共同作業を行いました。



HoloLens 2を使った作業内容の事前確認

まずは、施工現場側にて「mixpace」でコンバートした物流施設の3DモデルをMicrosoft HoloLens 2で表示。HoloLens 2の映像をミラキャストでPCに投影し、参加メンバー間で、当日の検証内容や確認区域について3Dモデルを通じて事前確認しました。現地参加者には、設計・施工担当者以外のメンバーもいたため、図面上だけでは共有できない内容を想定して、より直観的にわかる3Dモデルを使ってコミュニケーションを図りました。

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(画像:施工現場側でHoloLens 2から3Dモデルを表示)





Autodesk BIM 360からシームレスに連携

当社で採用している共通データ基盤クラウドAutodesk BIM 360と「mixpace」は連携対応しているため、BIMモデルをシームレスにAR / MR向けにコンバートできるようになっています。「mixpace」のWEBアプリ上からBIM 360にログインして対象のBIMデータを選択するだけで、AR / MR向けに数分でコンバートできます。今回は、オフィス側から当日に設計変更を行った複数のBIMモデルをBIM 360経由で「mixpace」にコンバートしてもらい、施工現場側では変更前と変更後のものをARでそれぞれ確認しました。

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(画像:「mixpace」のWEBアプリ内にあるBIM 360連携機能画面)



施工現場側とオフィス側が遠隔で協同し位置合わせ作業

検証実施日前に施工現場側からもらっていた情報を元にARマーカーの配置位置を決めていましたが、実際行ってみると想定と異なる地点であったため、施工現場側から映像と状況をオフィス側に伝えました。オフィス側で「mixpace」の「位置指定ARマーカー機能」で座標位置を再設定して、新たなマーカー配置場所でモデルの初期配置を行いました。「mixpace」には「クラウドシンク」という同期機能があり、他のメンバーが変更した内容を自分のアプリ内ですぐに更新することが可能です。

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(画像:ARマーカーの設置座標変更はオフィス側で設定し、施工現場側ではアプリ内で同期を行った)



「見えないもの」をARで見せる

当社は設計段階のBIMモデルの活用として、排煙有効高さの空間をモデル化することで、有効開口面積を算出し建築基準法における排煙検討を行うツールを開発しました。この実際には存在しない排煙有効高さのモデルをBIMデータ内で色分けしておいて、HoloLens 2やiPadで現実空間に表示することで、設計通りに施工されているかの確認を行いました。図面だけでは伝わりづらい空間的情報をARで表現することは、設計監理業務に役立つとともに、設計施工者側から立場の異なる人への説明やプレゼンテーションに有効であることが確認できました。

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(画像:天井から80cmの排煙有効高さに含まれる建具の有効開口面積について設計通り施工されているかをHoloLens 2とiPadで確認。iPadでは持ち上げることで目線の高さの情報を見ることができた)





大容量3DモデルをHoloLens 2で投影

検証当日にオフィス側から送った設計変更後のBIMモデルは、物流施設全体のモデルでファイルサイズが300MB以上ある大規模なものでした。この規模のファイルになると、HoloLens 2のローカルレンダリングで描画処理できず、従来はHoloLens 2のアプリ内で3D表示することが不可能です。そこで、大容量3Dデータの表示が可能になる「mixpace Remote Rendering」を活用し、クラウドで高精細な3Dモデルの描画処理をしてHoloLens 2へストリーミングすることで、可視化を実現しました。

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(画像:「mixpace Remote Rendering」を使って大容量モデルを可視化)





AR / MR技術活用の有効性

検証の結果、物流施設のような大規模な建築物であっても、AR / MRで3Dモデルを表示でき、完成イメージを共有できることが分かりました。例えば、施工前の地縄立ち合いの際に3Dモデルで竣工時の完成イメージをお客様(施主)に見てもらえれば、喜んでもらえるであろうと感じました。CGパースだけでは確認できない、スケール感や、実際にどのような形状で見えるのかを確認できるようになり、わかりやすい空間情報でのプレゼンテーションが可能なAR/MR技術の活用が有効であると手ごたえを感じています。


mixpaceチームより

本記事の作成にあたり、詳細な検証事例をご提供いただきました大和ハウス工業株式会社 木戸様、高比良様をはじめ、施工現場案内をいただきました大和ハウス工業株式会社 仙台支社北海道・東北建築設計部第1課 島谷晃平様、現場関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。

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