川田工業株式会社様 :CIM活用工事の中で鋼橋の付属物の取り合い確認や狭隘箇所の製作可否判断にmixpaceを活用

導入事例 2022-03-01

川田工業株式会社様では、鋼橋の排水管などの付属物の取り合い確認や狭隘箇所の製作可否判断にmixpaceをご利用いただきました。その活用の目的や効果について橋梁事業部技術部大阪技術部四国技術課の水野浩様にお話を伺いました。

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キーワード:BIM / CIM、設計レビュー、生産性向上、鋼橋、狭隘部、干渉チェック


 

【mixpaceを活用しようと思ったきっかけ】

国土交通省はi-Constructionを推進し、2025年度までに建設現場の生産性の20%向上を目指しています。建設業界全体がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組み、人手不足の解消や業務を効率化する動きが加速する中、当社でもBIM / CIMの活用を積極的に進めています。その一環としてMR技術の活用を計画し、HoloLens 2を使ってCIMモデルを現実に投影するためにmixpaceを採用しました。

【活用方法、活用した所感・効果】

・干渉を確認し手戻りを事前に防ぐ
本山橋の発注者指定型CIM活用工事(四国地整 香川河川国道事務所発注)では、mixpaceのHoloLens 2 / iPad アプリを使って、これから施工する箱桁橋の上部工、排水管や電力管など付属物の3DモデルをMR投影しました。

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写真-出来上がった下部工に上部工(長さ165m, 幅10m)の3Dモデルを投影している様子

 

支点付近は橋の上に貯まった水を処理する排水管や橋の左右に電力を渡す電力管などの付属物が集中しています。従来は、設計時の落としや現地の地形と設計図面との差異によって相互の干渉が生じることがありました。そこで、現地の下部工に上部工の3Dモデルを投影することで、あらかじめ干渉するものが無いか確認しました。

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写真-水平方向に電力管が干渉なく通っている様子

 

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写真-MR表示によって縦に通る排水管の位置ずれを事前に気付けた様子

 

現地にMR投影した結果、本来あるべき排水桝に着地していない箇所があることが確認できました。図面上では正確だったとしても、現場の状況が変化したことによって、当初の予定通りに進まないことがあります。今回はmixpaceで事前に確認する事によってずれに気付くことが出来き、現地搬入後の手戻りを防止することができました。

 

・社内検討で模型製作の手間を削減
高知県で建設される斜角が35°の単純箱桁橋では、狭隘な箇所の製作可否判断にmixpaceを利用しました。従来、狭隘な箇所での製作可否判断では発泡スチロールなどで模型を1, 2週間かけて製作し確認していました。mixpaceを使用して実寸大の3Dモデルを直接投影することで、模型製作の手間を減らすことが可能になりました。

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写真-HoloLens 2 で表示した実寸大の3Dモデルをスクリーンに投影して検討している様子

 

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写真-工場の製造担当者がHoloLens 2を被って確認している様子

 

・インターンシップ研修で学生にアピール
インターンシップ研修にて、土木を学んでいる学生に mixpaceのHoloLens 2 / iPadアプリで実寸大の鋼橋の3Dモデルを体験してもらいました。現場経験がほとんどない学生にも分かりやすく実物大のスケール感を伝え、鋼橋の建設における最先端のIT技術を体験してもらうことで橋の仕事に興味を持ってもらうきっかけになりました。

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写真-鋼橋の3Dモデルをmixpace iPadアプリで表示させている様子

 

【今後のMR技術とmixpaceに期待するところ】

CIM導入以前は二次元の図面上で施工確認をしており、現場に従事する人間の経験と勘に頼らざるを得ないところがありました。そのため、図面の見落としや現地の状態のズレによって施工計画や内容が変わることがありました。それが三次元のCIMを活用することで事前に干渉の確認が出来、さらにmixpaceを使って実寸大でMR投影することで一目瞭然になったおかげで手戻りが減り、業務の効率化やコスト削減を図ることが出来ました。

現在のmixpaceでは静止した3Dモデルの表示のみの対応となっているので、今後はそこに動的なアニメーション機能が追加されるとより高度な検討が行えることを期待しています。土木建設の現場は広くて平坦な土地だけではなく、高低差がある場所や非常に狭い場所での作業を求められる場面もあります。そのような現場でアニメーションデータをMR表示させ、クレーンの旋回などの検証が行えると、より生産性の向上につながると期待しています。


mixpaceチームより

本記事の作成にあたり、詳細な検証事例をご提供いただきました川田工業株式会社 水野様に改めて感謝申し上げます。
頂戴したフィードバックを活かし、さらなる品質向上やよりご活用いただける機能開発に努めてまいります。

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